障 害 年 金 の 話

― 20歳を迎える皆さんとそのご家族のために ―
 
 

第4章 手続きの進め方   

 

1.障害年金請求の覚悟を固める 

 私は、年金請求の相談を受けて初めてご本人と面接する時に(特に軽度の知的障がいの方の場合は)こんな話をします。 

 

「障害年金というのは、どれだけ自分ができないことがあるのかをたくさんの人に伝えて、それが認められた結果もらえるお金です。」

 

「つまり、年金をもらえるということは、自分が一人前ではないということが社会に認められたということなのです。」

 

「だから、年金をもらえるということはあんまりうれしくないことでもあります。」

 

「年金を請求する書類を作るために、今から貴方ができないことをたくさん聞いていきますが、それは貴方にとってはとても嫌な作業になります。」

 

「それでも良いですか?」

 

 随分乱暴な言い方だと思われたかもしれませんが、後にも記すように、障害年金請求のためには、自分にどれだけできないことがあるか、ということを事細かに書かなくてはなりません。

 しかし、この作業はご本人が自分の障がいと向き合うことなしにはできません。

 

 自分に障がいがあることを人に知られるのは気分の良いものではありません。

 そのことで今まで何度も嫌な思いをしてきたので、できれば隠していたい。

 親御さんにとってもできれば触れたくないことかもしれません。

 

 しかし、そもそも障害年金請求とは障がいを認定する作業です。

 親御さんの中には、療育手帳を取ったこともご本人に知らせていなかったり、障害年金もご本人に説明しないまま手続きして、ご本人に知らせないで内緒で管理している方もおられます。

 お気持ちが理解できないわけではありませんが、療育手帳や障害年金はご本人のものです。

 

 これから社会で生きていく上で必要な支えであり道具なのです。

 障害年金請求というのは、自分の障がいときちんと向き合って、それを踏まえながら、これから社会人として自分に誇りをもって生きていこうという、成人としての一種の通過儀礼のようなものだと考えられないでしょうか。

 

 「年金はお金」と割り切って取り組まれる方もあるでしょうし、色々な考え方があると思いますが、親も子も現実に向き合って、ご本人がこれからどこでどう生きていくかを考える、そんな機会にできたらと思うのです。

 蛇足ですが、20歳を過ぎれば親子といえどもお金の上では他人です。

 ご本人の障害年金を親が勝手に使えば横領という罪になりますので念のため。

 

     
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